鑑定業務の流れ

ご依頼から鑑定評価報告書作成までに必要なステップを示します。

   鑑定業務の流れ

1. 

鑑定評価の基本的事項の確定

鑑定評価の依頼目的、条件についてご依頼者の意思を明瞭に確認します。

 
2.  処理計画の策定

確定された鑑定評価の基本的事項に基づき、実施すべき作業の性質と量、処理能力等に応じて、各作業に係る処理計画を策定します。

 
3.  対象不動産の確認
対象不動産の物的確認と権利の態様の確認を、実地調査、ヒアリング、公的資料の確認により行います。

対象不動産の物的確認:土地については、その所在、地番、数量等を、建物についてはこれらのほか家屋番号、建物の構造、用途等をそれぞれ実地に確認することによって、対象不動産実際にあるか否かとともにその内容を登記簿謄本、図面、写真、地図などの確認資料を用いて照合します。

権利の態様の確認:上記により物的に確認された対象不動産について、鑑定評価の対象となる権利(例えば鑑定評価の対象となるのが土地であれば所有権か地上権かまたは地役権かなど)があるか否かとともにその内容を登記簿謄本、図面、写真、地図などの確認資料を用いて照合します。

 
4.  資料の収集及び整理
鑑定評価に必要な資料は概ね以下のとおりです。

確認資料:不動産の物的確認と権利の態様の確認に必要な資料で、登記簿謄本、図面、写真、地図などです。

要因資料:地質・地盤等に関する資料、その街の人口・都市形成・公共施設の整備の状況等に関する資料や、国際収支・GDP・日銀短観・消費者物価指数などです。

事例資料:鑑定評価の手法である原価法、取引事例比較法や収益還元法に必要な現実の取引価格・賃料、建物などの建設費などです。

 
5.  資料の検討及び価格形成要因の分析
 資料の検討は、鑑定評価の作業に活用するために必要にして十分な資料であるか否か、資料が信頼するに足るものであるか否かについて検討します。

価格形成要因の分析については、社会経済情勢などの一般的要因の影響を前提として、たとえば、対象不動産(建物とその敷地)が東京の銀座にある場合、表通りのデパート立地なのか、飲食店立地なのか、または事務所立地なのか、対象不動産の需要者が資金力のある投資家なのかまたは個人事業主なのか、仮に飲食店立地であるとしても3階以上は事務所がはいっている場合などを総合的に調査分析した上でその地域の標準的使用を判定します。
次に、判定された標準的使用を前提として、対象不動産の規模、現状の用途、現状の用途が周辺の用途と比べて収益性に問題は無いか、現実的な需要者が資金力のある投資家なのかまたは個人事業主なのかなどを調査分析して、その対象不動産の効用(収益性)が最も大きくなる可能性のある使用方法を判定します。


 
6.  鑑定評価方式の適用
たとえば、不動産の価格を鑑定評価する場合は、原則として原価法、取引事例比較法と収益還元法、また開発法の4手法を適用して鑑定評価を行います。各手法の説明は以下のとおりです。

原価法:たとえば建物における原価法の適用においては、まず、価格時点においてその建物を新たに建てるためにはいくらかかるかを査定し、評価の対象となる建物が建ってから5年経過しているのであれば、その査定価格から相応の減価額を控除して試算価格を求める手法です。

取引事例比較法:たとえば土地(更地)における取引事例比較法の適用においては、その土地と利用方法、環境等が類似する現実の取引事例を多数収集し、必要に応じて補正等を行いその土地の試算価格を求める手法です。

収益還元法:たとえば商業地域に立地する建物とその敷地に収益還元法を適用する場合、その建物と敷地から得られる賃料、敷金・権利金等がある場合はそれらの額をも考慮して、また、必要諸経費も査定した上で、将来期待される純収益を現在価値に割り戻して、試算価格を求める手法です。


 
7.  試算価格又は試算賃料の調整

たとえば商業地域に立地する建物とその敷地について原価法、取引事例比較法と収益還元法を適用して試算価格を求めた場合の試算価格の調整は、それぞれ求められた試算価格である積算価格、比準価格と収益価格の説得力を検討するなどして、鑑定評価額を決定する作業をいいます。

 
8.  鑑定評価額の決定

以上の手順を尽くした後、適正と判断される鑑定評価額を決定します。

 
9.  鑑定評価報告書の作成

少なくとも下記の事項について記載した鑑定評価報告書を作成します。
@ 鑑定評価額及び価格又は賃料の種類
A 鑑定評価の条件
B 対象不動産の所在、地番、地目、家屋番号、構造、用途、数量等及び対象不動産に係る権利の種類
C 鑑定評価の依頼目的及び条件と価格又は賃料の種類との関連
D 価格時点及び鑑定評価を行った年月日
E 鑑定評価額の決定の理由の要旨
F 鑑定評価上の不明事項に係る取扱い及び調査の範囲
G その不動産の鑑定評価に関与した不動産鑑定士等の対象不動産に関する利害関係又は対象不動産に関し利害関係を有する者との縁故若しくは特別の利害関係の有無及びその内容
H その不動産の鑑定評価に関与した不動産鑑定士等の氏名

 
 
     

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